講演会要旨 ダイオキシン問題 −日本のごみ処理,何が問題でどうすればよいか− 瀬戸昌之(東京農工大学環境資源科学科) 我々の目的は「持続可能な社会の構築」である。そのためには地域内で物質は循環しなければならない。また,産業活動は公正でなければならない。 1.都市や工業国は持続可能ではない。なぜなら物質が循環しないから。 1・1.人類は,資源の枯渇ではなく,環境の劣化で消滅する。(石油資源を燃やし尽くすと炭酸ガス濃度があがり,人類は生存できない) 1・2.自然から学ぶ物質循環の完結 1・3.日本のごみ処理…「燃やして」,「埋める」(物質循環の遮断) 燃やせばダイオキシン,埋めれば汚水漏れ 2.ダイオキシン類一不気味な猛毒(ダイオキシン,ベンゾフラン,コプラナーpcb) 2・1.ダイオキシン類は塩素を有する。(塩ビは塩素の固まり) 環境に半永久的に残留する。水に溶けずに脂肪に蓄積する。 2・2.コメ粒の千分の1量のダイオキシンでモルモットは死ぬ。さらに千分の1で,アトピー症,精子減少,子宮内膜症,流産など・・・ 2・3.耐容1日摂取量(tdi,4ピコグラム1キログラム(体重)/日以下なら安全か。 2・4.日本はダイオキシン汚染大国 ・ダイオキシンはどこから排出されるか。ごみ焼却の煙に,特に塩ビを燃やすと ・ 世界の焼却炉の7割はこの日本に ・5ピコグラム/gの餌でアカゲザルに子宮内膜症。沿岸魚に7ピコグラム/g ・日本の大気,土壌,近海そしてヒトの脂肪のダイオキシン濃度は? 3.「埋めれば」汚水漏れ 3・1.東京都,日出町のごみ埋めたて地でなにが起っているか 3・2.地下水の汚染,灰の飛散 3・3.そして第2処分場 4.これではごみ問題は解決しない 4・1.高速連続燃焼の大型炉(ガス化溶融炉)…ダイオキシンは熱分解する? 重金属は?大量のごみは ? 4・2.エコセメント…品質が悪く,超高価,…誰も買わない,使えない 4・3.プラスチックの油化…火災炎上,油は使えない (塩ビ中の塩素が塩酸となり,金属を腐食させ,油が漏れ火災となる)4・4.固形燃料(rdf)…お金をかけてrdfにしてごみ処分場へ 4・5.塩素の固まり「塩ビ」,「塩ビ」を除去して燃やしたら,「予防」こそ重要, 「対症療法」は無効 5.神川町の産業廃棄物処理業計画(宝鐘隆,2000年) 5・1.廃プラスチック,金属くず,感染性廃棄物,アスベストなどを中間処理 5・2.循環型社会構築?雇用拡大?生活環境の保全?排水は全量蒸発気化? 毒性の強いカドミウム(重金属)を気化させたら? 5・3.日の出町の処分組合ですら「溶融技術は未完成」としている 5・4.宝鐘隆はパチンコ業(立川市)…廃パチンコ台,25,000台/月も燃やす予定。 自己資金7億円,借入金33億円…納税額はゼロ(立川税務署) 5・5. 煙突の高さはわずか30メートル! ダイオキシン類の法規制値1ngteq/m3n」を守る? 5・6.守れたとしても 1日当りの排ガス量は80万m3程度→毎日800μgのダイオキシン類→大人の1日当りの許容量は約200pgであるから,400万人分の許容量に等しいダイオキシン類が排出される。わずか30メートルの煙突から! 6.どうすればよいか? 6・1.地域のことは地域の人が最も真剣に考えている 6・2.持続可能な杜会には農業が不可欠 農業には清浄な大気,水,そして豊かな土壌が不可欠 6・3. 循環型のごみ処理法,epr(拡大生産者責任)に従うことが重要! − 生ごみ堆肥化を例に − 7.誰かがやってくれるのではない。豊かな地域おこし,発展は地域を大切に考えているその地域の全ての人の参加があってはじめて可能。 |